厚生・国民年金では、本人が支給漏れに気づくなどして社保庁に年金額を訂正させた人数が、過去6年間で約22万人にのぼることが明らかになっている。今 回の調査結果では、1人の受給者がいくつもの不明の記録の対象となっている可能性もあり、記録の件数より実際の支給漏れの人数は相当少ないと見られるもの の、支給漏れにまだ気づかず、本来より年金額が少ない受給者が多数にのぼる可能性が強まった。
公的年金の記録は1997年から、1人一つの基礎年金番号で管理され、転職を繰り返しても支給漏れが起きない仕組みになっている。
だが、それより前は、転職のたびに別の年金番号が付けられるなどの例が多く、基礎年金番号にまだ名寄せされていない過去の記録が、2006年6月現在で約5000万件もあることが、明らかになっていた。
社保庁が今回、年齢別の内訳を調べたところ、このうち標準的な支給開始年齢(厚生年金60歳、国民年金65歳)以上で、受給者の平均的な寿命であ る80歳未満の記録が、計1866万7317件(厚生年金1499万9655件、国民年金366万7662件)にのぼることが判明した。厚生年金の場合、 約6割を60歳代が占めている。
80歳以上で基礎年金番号のない記録は904万1631件(厚生年金681万3179件、国民年金222万8452件)あった。
支給漏れは、年金の受給が始まる時点で、保険料を支払った記録の一部を、社保庁と受給者の双方が見落とすことで起きる。社保庁は今回のデータのうち、支給漏れの実人数は把握できないとしている。