「このA4判とB5判の2枚を、午後3時からの会議に間に合うように10枚ずつコピーしてください」
講師がそう述べると、今度は受講生がコピーをとる上で上司に聞いておくべきことを、議論しながら考える。
「会議室の机の上に並べるほうがいいのでしょうか」「大きさが違う用紙ですが、同じA4判で2枚ともコピーしたほうがいいのでしょうか」「カラーコピーにするのでしょうか、それともモノクロですか」
「アカデミーテンプ」(東京都渋谷区)で3月下旬に行われたビジネストレーニング講座だ。受講していたのは、新社会人になる女性6人。受講者の一 人(22)は「友達との会話だとそのままで済むことが、仕事では指示の中身を具体的に聞き返しておかないと何も進められない場面があることが分かりまし た」と話す。
単純に見える仕事の指示の中にも、実際にその仕事をこなす上では、コピーの例のように様々な情報が必要だ。上司の指示の中には、それらの情報が常 に含まれているとは限らない。だから、指示を受けた後、上司が外出するなどして具体的な指示を聞けないと、仕事が進まないことになりかねない。
講師の池之上美奈緒さんは「早く的確に仕事をこなすには、指示を受けたその場で具体的な内容を思い浮かべ、不明な点を尋ねること。最初はだれでもうまくいきません。日々の訓練が大切です」とアドバイスする。
この中で社員にビジネスマナーを学ばせたいという要望が最近増えたことから、「身だしなみ」「言葉づかい」「電話応対」「来客応対」などの6項目に分けて具体例を解説する。また「ビジネスマナーテスト」の項目では、ビジネスのさまざまな場面からクイズを出題している。
例えば―― 運転手つきの車に上司や先輩と4人で乗り、後部座席に3人、助手席に1人が座るとすると、最も軽輩である自分は、どこに座るのがいいのか? 答えは助手席。
上司の代理で弔問に行き、受付で記帳するときにはどうするのか? 答えは上司の名前を記入し、左下に小さく「代」と書く。
同社の担当者は「ビジネスマナーや常識は、職場や取引先との関係を円滑にします。この時期から、折に触れ徐々に身につけましょう」と話している。