本紙が実施した県内主要企業六十社に対する二〇〇八年の採用計画調査によると、回答した五十一社(回答率85%)のうち明確に採用計画を策定した企業が二十四社に上った。
そのうち「今春より増やす」「増やす方向」と答えた企業は十二社。昨年同時期の調査に比べ七社減だが、「今春並み」と回答した企業は六社増え、十九社になっている。
今年四月の採用人数を昨年より増やした企業が九社あることからも分かるように、雇用環境は明らかに改善し企業の側に積極的に人材を採用しようとの意図が認められる。
採用増は事業規模拡大に向けた人材確保が大きな理由だ。だが、業績の回復に伴い雇用環境が変化してきていることもまた確かだろう。
この動きが高失業率の改善に直結するわけではもちろんない。がしかし、それでも企業側に積極的な採用意図があるということである。
学生やフリーターはこの動きをしっかりと把握すべきであり、就職活動を積極的に展開する必要があろう。
ただ、就職説明会などを企画するジーオフィス砂川政二社長は「大学三年の秋から就職活動を行う学生」と「まったく動かない学生」の間で「意識の二極化」が見られると指摘している。
情報収集などを積極的に行う人とそうでない人との差は、採用に当たって企業が重視する「やる気」(二十七社)と「行動力」(二十四社)の差として表れるのは言うまでもない。
であれば、「自分の将来像を描き、目的意識を持って就職活動」(情報通信産業)を行うのは当然であり、そのための努力を惜しんではなるまい。
雇用枠の拡大は景気の回復と無関係ではない。一方で、今年から〇九年にかけて「団塊世代」が定年を迎えることからくる極めて現実的な問題があるということである。
それが企業側に「人材不足感」を感じさせているのは間違いなく、換言すれば「売り手市場」になりつつあるとみていい。
約一カ月採用試験を早める琉球銀行採用担当者が言う「早い方が優秀な人材を確保できる」との認識は各企業に共通したものである。その意味で、企業間の競争が激化してくる可能性もあるはずだ。
就職を希望する高校生、大学生、そしてフリーターはこの機会を生かすべきであり、情報を集めて積極的にチャレンジしてもらいたい。