しかし、同時に、ほかの職業の見習い職が不足しているという事実も見逃せない。レシュ氏によると、「何の資格も得ないよりは、農業者としての教育を一通り終えたほうがいいから」と通う学生もいるということだ。
また、前出のクンマー氏は、農業教育を魅力の多い一時的な解決策とみている学生も多いと指摘する。卒業後、農業者からその供給者側や購買者側に転職するチャンスは非常に多い。
現在、スイスでは6万軒が農業を営んでいるが、その数は毎年約4%ずつ減少している。それでもスイス農業・酪業家協会は農業に対して明るい展望を持ってお り、レシュ氏は「毎年、900人の若者が農業を営むための教育を受けています。このまま進めば、30年後にも2万7000軒の農家が農業に従事しているは ずです」と期待する。だが、のちに関連職に転向してしまう卒業生も約15%に達している。