派遣労働者やフリーターの若者らによる「自由と生存のメーデー」が三十日、東京・新宿で開かれた。「非正社員を使い捨てにするな」「残業代を支払え」。一日のメーデーを前に、いつもは集まることのない若い参加者が集まり、切実な声を休日の繁華街に響きわたらせた。
音楽を流したトラックが怒りのシュプレヒコールを先導する。「職場に労組があっても入ることのない、フリーターのためのメーデーをやろう」。デモは非正社員をつなぐ地域労組「フリーター全般労組」(東京)が企画。四回目の今年は昨年の四倍の約四百二十人が参加。上野や山谷地区でホームレスを支援するグループや平和団体も加わった。
「まともに暮らせる賃金を」「派遣会社はピンハネするな」。派遣労働などで働く人たちならではの訴えが続き、大久保地区から歌舞伎町へ約二時間、練り歩いた。
昨年のデモでは逮捕者も出ており、大勢の警官に物々しく取り囲まれた「サウンドデモ」は人波あふれる沿道の目を引いた。
「最初は何だろうかとびっくりしたけど、(デモの主張には)共感できる部分もあった」と、都内在住のアルバイト男性(32)はうなずいた。「格差がこんなに広がっても自分が何も言えないのも悔しかった。デモは何もしないよりずっといいと思う」と女性(23)は友人と一緒に見守った。
この日は福島瑞穂社民党党首も駆けつけ一緒に歩いた。「厳しい状況に置かれた若い人の生の声を聞くことができた」
京都から参加した介護ヘルパーの男性(32)は「仕事はハードなのに給料は全然見合わない。生活できずに離職する人が増えており、国の無策を訴えたい」と話した。
集会に先立ち、日雇い労働の現場で派遣で働く男性が日給六千-七千円、月収十三万円程度にしかならず、家賃や食費を払うと手元にほとんど残らない生活を紹介。主催者側には労働基準法が無視され、遅刻して罰金を取られたケースなど、悪質な雇用をめぐる相談が絶えないという。