「職達求職旅行社」は昨年8月、急増する地方大学生による就職活動に目をつけ、上海南駅前の古いビルを買い取り部屋に2段ベッドを並べただけの簡易ホテル を開業した。20平方メートルほどの一室に8つのベッドが詰め込まれ、まさに寝るだけ。1泊20元(約300円)で200人収容のベッドは連日満杯状態、 1カ月前でも予約が難しくなっている。
昨年秋には、取りつぶし寸前の古いホテルも買い取って同様の学生ホテルを開業、こちらも収容可能な150人以上の学生で連日満室となり、4月にはさらに2カ所を臨時開業する。同社はこのほか北京、西安などでも同様のホテルを開く。
就職活動の地方大学生を相手にした安宿商売は2年前ぐらいから広州や上海で散見されるようになり、小規模の学生宿だと今も1泊10元(約150円)で泊ま れる。しかし、ベッドの衛生状態が悪く、長期滞在する学生は1日1食3元で過ごし、しかも就職先が見つからないため精神的に参ってしまう学生も見られると いう。
中国経済は過去4年連続で2けたの成長率を誇っているが、急増する大卒生の就職率が悪化して いる。生産現場で作業に携わる単純労働は多数あるが、大卒生を対象とした事務職の仕事は数少ない。田成平・労働社会保障相は全国人民代表大会(全人代、国 会に相当)開会中に記者会見を開き、「昨年からの失業大卒生と今年の新卒生合わせて600万人が厳しい就職競争に挑む。できるだけ地方での就職を目指して ほしい」と、異例の呼びかけを行った。
中国の高等(大学)教育の卒業生は2001年(114万人)以降一気に増加、昨年が413万人で今年は495万人以上が卒業する。