1.現下の雇用情勢
失業率は改善し、新卒採用は空前の売り手市場となっているが、自然失業率は高止まりするものとみられる。その背景の1つが雇用のミスマッチである。
米国では1960年代後半から産業の構造調整を行い、製造業部門の雇用者シェアを徐々に減少させてきた。一方、日本は産業の高度化といいながら、現在でも製造業部門が相当の雇用者シェアを占めており、今後、産業の構造調整が行われていく可能性がある。
雇用者の人員構成をみると、「バブル世代」が多く、「失われた10年世代」が少ない。こうした状況が各企業や産業全体でみられ、人的資本の蓄積上大きな問題をはらんでいる。
失われた10年世代は、教育訓練の機会が乏しかったことに加え、非正規社員の割合が高く正社員としての教育を受けていないものも多いことから、長期的な企業経営への影響、ひいては今後の経済成長にも大きな問題をもたらすであろう。