大田担当相は、いざなぎ景気を超えて戦後最長を記録している現在の景気回復局面について「5年間、回復を続けていることは評価できる」としながらも、足 元の景気動向に関して「最も注目しているのは賃金だ。消費が伸びない背景には、賃金が増えていないことがある。ここが一番気になる」と述べた。
その上で、「雇用自体はそれほど悪くない。人手不足感も出てきている。新卒の採用は増え、初任給も上がっている。なぜ賃金が伸びないのか」と繰り返し、景気の先行きを見通す上で賃金動向が大きなポイントになるとの見方を示した。
また、海外経済では「(注目は)米国経済がどうなるか。米国がしっかりとソフトランディングに向けて回復を続けてくれないと、日本にとっても不安要因が 増える」とし、その米経済について「個人消費は悪くない。一時期心配された住宅も、やや底を打ったような感じもある。代わって、設備投資が弱くなってい る」と分析した。
ただ、「今年に関しては、米国もそれほど悪くないだろう。中国は強い成長が続く。したがって、この回復基調は、今年も続く。(日本の)景気の先行きも持続すると見ている」と語った。
大田担当相は、「基本方針2006」(骨太の方針)で示された成長戦略と歳出・歳入一体改革を「車の両輪」と位置づけた上で、政府が目標に掲げている 2011年度の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化について「足元の税収が伸びており、歳出を最大限やって最大の成長を遂げれば、増税なし で達成できるかも知れない。まずこれを目指す」とし、歳出削減努力を徹底的に行うとともに高成長が実現できれば、増税は不要になるとの考えを示した。
政府が今秋以降にも本格的に議論を開始する税制改革については、グローバル化、国内での負担方法、財政の論点があるとし、「3つの点を考えながら議論したい」と語った。