2007年4月23日月曜日

怖い先輩

団塊世代の定年により、新卒の採用熱が高まっているのはみなさんご存じだろう。
商社A社は、いま、まさにその状態にある。しかし、熱心な採用活動にもかかわらず、A社の得意分野が非鉄金属・材料という一般になじみの薄い分野であることや、少しばかり古めかしい社名、とかく先入観をもたれがちな同族経営のためか、就活学生から敬遠されてしまっていた。
昨期(今春入社予定)は数十名規模の採用を計画していながら、確保できたのは五割以下(A社人事は、さらなる直前の辞退者出現に怯えている)。現在進行中の新卒採用には、人事のみならず、全社員が積極的に協力するように通知がなされていた。

A社の海外営業のEさん(27歳)は、新卒の採用セミナーにしばしばかり出されていた。Eさんは決してトップの業績を出しているわけではなかったが、声が よく通り、マスクも悪くない。新卒にとって「3~5年後の自分の姿」としてイメージしやすい年齢であり、いいモデル社員だったのだ。
こうした場に呼ばれることは、Eさんとしても本来は光栄なことであるはずだったが、彼はこの役割を任されるようになってから、転職を考えるようになってしまった。

「やってられません」Eさんは額に手をあてて、目を伏せた。「まるで動物園ですよ」
A社が採用しようとしている新人たちの様子を、彼はそう表現してなげいた。
「まあ、そう言わずに。若い頃はみんなそんなものじゃないですか?」
我々はなんとか励まそうとしたが、「まさか」とEさんはクビを振った。
「ボクらの時は氷河期でしたから、危機感が全く違いますよ」

違っているのは、就職に対する意識だけではないはずだ。採用枠が絞られている中、大手ではないにせよ、希望していた商社に就職したEさんは、一般常識・頭の回転・コミュニケーション能力も十分にあったのだろう。大学も有名どころである。
売り手市場になった今、A社が採用している新卒のレベルがグッと落ちていると感じてしまうのもムリはない。
「後輩があのレベルだっていうなら、自分はもっと上に行けそうな気がするんです」
こうして彼の転職活動は始まった。

転職動機を聞かれるとEさんは
「去年から新卒採用のサポートを頼まれるようになり、そこで若い人たちと接していろいろと触発されました。今の自分にどこまで出来るのだろうと考え、転職に取り組む決心をしました」
と、当たり障りのない上手な言い回しを披露していたが、ある企業の二次面接で、かなり打ち解けた雰囲気になり、相手企業の人事部長はEさんに愚痴を漏らしはじめた。

「いやあ、Eさんみたいな採用に関わったことのある営業が入ってくれると助かるよ。なにせ新卒は売り手市場でしょ。新人の教育でみんな手一杯。現場には手伝ってもらえない。人事はてんてこまいだ」 どこも同じなんだなあと苦笑したEさんに、部長はこんなセリフを付け加えた。
「しかし、最初のうちはともかく、今の新人はどこまで伸びていくかねえ。人数が多いから、何人か這い上がってくると思うけど、ヘタをすると、少し上の世代がずっと頭を抑えているということにもなりかねないよ」

何事も表があれば裏がある。言われてみれば、下のレベルが低くくて抜かれる心配がないというのはメリットかもしれない。いや、それだけではない。育てるのが大変というマイナス面も、ウラをかえせば自分のマネージメントスキルを磨くには絶好のチャンスとも言える。
もともと、EさんはA社の仕事は気に入っていた。それをここで辞めるのは本当にプラスなのか…。

考え抜いた末、EさんはA社に留まることにした。ただ、新卒に対するイライラは消えていない。転職活動休止の連絡で、Eさんは「鬼軍曹となってビシビシやっていくつもりです。でないと、やってられませんから。連中、いい気になりすぎですよ」と、声を低くしていた

人材不足は多くの企業で起きていること。おそらく、Eさんのように思っている人は少なくないはずだ。
「就職活動が楽で良かった」と思っている学生諸君、そんなに世の中あまくない。入社後、飛びきり優秀でコワい先輩が、手ぐすね引いて待っているかもしれないのだ。

SEOってなあに?

google、yahoo等の検索エンジンの順位を上位にするための技術なんですって。 なんだか難しそうですね(・ω・;)

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