入社して半年後、Sさんから連絡がありました。
「P社、次年度の雇用契約の継続はなさそうです……」
P社の立ち上げる予定の新規事業の内容について、求人のヒアリングをした際には社外秘ということで教えてもらえませんでした。Sさんも社内の現状は入社後に知ったとのことでした。
もともと印刷系企業だったP社は、ほかの印刷系の企業がIT分野へ進出して成功したことから、遅まきながらIT事業を立ち上げようとしていたとのことでした。とはいえ、実際のところ、社内の体制はまったく整っていない状況でした。
ネットワークエンジニアとしてキャリアアップしようとしたSさんですが、1年の契約で終了することになりました。
次の転職では、キャリアに進展はほとんどないにもかかわらず、短期間に転職回数が1回増えてしまい、厳しい転職となってしまったのです。
■社名だけで判断せず、面接で確認を
Sさんの入社を大きく左右したのは、P社のグループ名でした。新卒で入社したときと同じグループ会社だったので、グループ会社の話で盛り上がったことで、何となく分かった気になってしまったことが、転職が失敗する原因の1つとなったのでした。
同じグループ内といっても、社風や制度などが異なるのがほとんどです。事業部が違うだけでも、社風が異なるというケースはよくあります。
社名や、自分のネットワークの一部の接点だけ(知り合いのうわさなど)で判断するのではなく、面接の場で一緒に働く方や社内の雰囲気を見、時には質問をすることで、じっくりと転職先を判断するようにしましょう。
人材紹介会社では、面接の場で聞きにくい質問に対して、代わりに企業に確認したり、企業に悪い印象を与えない質問の方法をアドバイスしたりすることが可能です。納得したうえで、入社を決めるようにしましょう。